福島の事故の背景を把握するためにーアメリカのWikipediaの「地球温暖化に関する議論」の項目を読んで考えたこと

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『Merchants of Doubt』の著者によれば、ほぼ世界的なコンセンサスに反対する最も著名な科学者たちは、温室効果ガスを規制する政府の行動によって損失を被る立場にある自動車や石油などの産業によって資金を供給されているといったアメリカの事例は、テーマを地球温暖化に限った話ではなく、原子力産業についても通じる話だろうと考えることがあった。

政治科学者であるRoger Pielke, Jr.による「科学は必然的に政治と絡み合っている」との批判があるものの、『The Republican War on Science』の著者であるクリス・ムーニーによれば、懐疑的な科学者、コメンテーター、おそらく無関係な論争の中にあるシンクタンクといった重なる面があるグループの表面上の輪郭は科学的な分析を政治的イデオロギーとすり替える組織化された活動から生じており[...]、そのことはいつもそれ自体の政治的目標を達成するために科学的研究を歪め、隠匿してきたとの事例は、やはり地球温暖化に限った話ではなく、低線量被曝や内部被曝の影響の過小評価にも通じる話になるだろうと考えることがあった。

科学編集者であるBrooks Hansonの2010年の論説によれば「IPCCのレポートは気候変動のペースを過小評価しているが、一方温室効果ガスの排出を抑制する社会の能力を過大評価している」との記述があるが、アメリカのNRCが規制に合わなくなった老朽化した原発の処理策として規制自体を緩和することによって対処してきた事例と併せて考えると、原子力産業は事故を過小評価する傾向にあり、規制をクリアすることができないならば、規制を変更することで法的問題をクリアするといったアメリカの処理策と、地震によって生じたであろう福島の事故の可能性について、地震を事故の原因として認めるならばこれまでの原発をすべて設計段階から見直さなければならないといった技術的脆弱性を認識することができない日本政府の対応とを重ねて眺めてみると、それは法的問題をクリアすることが技術的問題をクリアすることにつながるといった論理の倒錯を内在させている事例につながり、それは人々がアメリカや日本における原子力の安全規制当局の監視体制の能力を過大評価しているから生じているのではなかろうかと考えることがあった。

世界経済を脱炭素化するための論争の多い断片的なアプローチを擁護していた2010年5月のThe Hartwell Paperによれば「私たちの所産をまとめた原則は3つの包括的な目標を通じ人間の尊厳を提唱すべきであり、それらの原因が何であれ、すべての人たちに対してエネルギーへのアクセスを保障し、地球システムの基本的な機能を損なわない方法で私たちが発展することを保障し、すべての異常気象から生じるリスクや危険に耐えられるよう私たちの社会が十分に備えていることを保障することが含まれる」との提案がなされ、「地球システムの基本的な機能を損なわない方法で私たちが発展することを保障する」とは原発の事故を想定したものではなく、つまり放射性物質の拡散の危険性を抱えている現状を鑑みると、私たちが温室効果ガスを削減するために原発を選択するとするならば、それは地球システムの基本的な機能(生命系であれ何であれ)を損なう危険を冒しながらエネルギーへのアクセスを保障することになり、それは人間の尊厳を提唱するというよりむしろ人間の欺瞞性を提唱している可能性につながらないだろうかと考えるときがある。

アメリカ下院の監視・政府改革委員会に報告された気候科学者たちの調査によれば「すべての回答者のほぼ半数がさまざまな会話の中において「気候変動」「地球温暖化」や他の類似した用語を排除するための圧力を認識し、個人的に経験していた」と記されており、2008年6月にNASAの監査総監局によるレポートによれば、ホワイトハウスによって任命されたNASAのスタッフが、2004年の大統領選挙と関連する論争からブッシュ政権を守るため、地球温暖化に対する科学的データを検閲し、隠匿してきたと結論づけられていたことから理解されることは、同様の圧力がIAEAやICRPを始めとする機関の内外で低線量被曝や内部被曝の影響を巡る議論について科学者たちの間において加えられていた可能性が存在しており、福島では現在なお事故に関連した「危険性」を示す言葉に対する言葉狩りが続いている現状になるのだろう。

ウォールストリートジャーナルの社説を担当する評論家によれば非科学的な調査になるが、2007年1月30日のAP通信によれば、アンケートに回答した279人の気候科学者のうちほぼ半数が、ある時点で彼らはレポートから「地球温暖化」や「気候変動」に対する言及を削除するように言われていたと述べていたことや、他方でTyndall Centre for Climate ResearchのMike Hulmeによる、気候変動に関する声明や講演が環境問題におけるドラマや誇張されたレトリックを求める欲望を満足していないとき、気候変動のキャンペーンを行っている者によってますますとがめられていることに気付くことになるとの発言が意味するところを、福島における「風評被害」キャンペーンと重ね合わせると、日本のメディア、行政(政治家を含む)の担当者、専門家は事故に関連した「危険性」を示す言葉に対する言葉狩りを維持する圧力を継続すると同時に、「風評被害」にまつわる大規模なメディア戦略を仕組み、結果として住民の長期間にわたる低線量の被爆を増加させており、これはアメリカもそうだが、行政官僚化が進んでいる司法が健全に機能していないことを背景にしているといった視点とともに、今後の福島を考慮すると、除染とともに移住と補償を確保するためになすべきことについて詳細な議論が求められているのだろうと考えることがある。

前回同様これが全てであるとは言及しないが、アメリカのWikipediaの「地球温暖化に関する議論」の項目の一部を訳すことにより上記の知見をサポートすることにする。URLは以下に示されるとおりになる。

http://en.wikipedia.org/wiki/Global_warming_controversy

地球温暖化に関する議論

その特徴、原因、影響に関して、地球温暖化に関する議論は科学的な文献よりむしろ一般的なメディアにおいてかなり顕著であり、様々な論点に及んでいる[1][2]。論点は、特に20世紀半ば以降の世界の平均気温の上昇の原因、この温暖化のトレンドは前例のないものであるのかそれとも通常の気候変動の枠内に収まるものであるのか、人類はそれに大きく影響を及ぼしているのか、気温の上昇は全体的にもしくは部分的に貧弱な測定の産物であるのかを含んでいる。さらに議論は、気候感度の推定値、その後の温暖化の予測値、地球温暖化の影響が何を示すかに及んでいる。

科学的な文献では、地球の表面温度は最近数十年間で上昇しており、そのトレンドは主に人間による温室効果ガスの排出によるものであるとの強いコンセンサスが存在している。いくつかの組織は外部から拘束を受けない立場を支持しているけれども、国内や国外のあらゆる科学に関する組織はこの見解に合意している[3][4]。

1 歴史

1.1 世論

地球温暖化をテーマにしたアメリカのマスメディアによる報道は「1988年以前は最低限度だった」が、1988年の干ばつの後その関心がかなり増大し、「私たちの国を悩ませている異常に暑い気候は地球温暖化を理由にしている」とのJames E. Hansenによる上院での証言に関連することになる[5]。イギリスのメディアによる気候変動に関する初期の報道は「1988年に変化を示し、それは、原子力を推進し石炭産業を解体するためにマーガレット・サッチャーが気候変動のリスクを転用したことにより刺激されていたが、政府に対し対照的な解決を求める環境団体や反対の政治勢力によっても刺激されていた」[6]。すべての欧州連合の加盟国は1997年の京都議定書に批准しており、多くのヨーロッパの諸国がすでに1990年より前から温室効果ガスの排出を削減する行動をとっていた。例えばマーガレット・サッチャーは1988年に人間によってなされた気候変動に反対する行動を擁護しており[7]、ドイツは1980年代に緑の党が議席を獲得した後に行動を起こし始めていた。NGOによる実質的な行動も同様に行われていた[8]。「地球温暖化」やより政治的に中立的な「気候変動」の双方が2005年の政治的な流行語やキャッチフレーズとしてThe Global Language Monitorによって列挙されていた[9]。ヨーロッパでは、気候に対する人間の影響の概念が、他の多くの諸国より、特にアメリカで顕著であるが、急速に広く受け入れられるようになった[10][11]。「Europeans' Attitude Toward Climate Change」とのタイトルをもつ2009年のユーロバロメーターの調査は概して、ヨーロッパ人は「貧困、食料と飲料水の欠如」と「重大な世界的景気後退」の間にある今日の世界が直面している2番目に深刻な問題として気候変動を把握していると記している。ヨーロッパ人の87%は気候変動を「非常に深刻な」もしくは「深刻な」問題であると考えている一方、10%は「それを深刻な問題として考えていなかった」[12]。

どれほどの重みと報道が議論の各側に与えられるべきかに関し広く世間に知られた解説者の間で論争があった。BBCのAndrew Neilは「ある問題において私たちが片側に立ち、そこで私たちが1種類の見解のみを有していることが意味している大きな危険性が存在していた」と述べていた[13]。

2010年に出版された『Merchants of Doubt』の著者は、人間による炭素排出の影響を減らすための意味のある社会的もしくは政治的進歩を止めるために世論に疑いの種を蒔こうとしている気候変動の「懐疑論者」をとがめていた。アメリカ人口の半数のみが地球温暖化は人間の活動によるものであると考えているという事実はこれらのいわゆる懐疑論者の勝利として眺められることが可能であった[2]。著者の主要な議論の1つは、ほぼ世界的なコンセンサスに反対する最も著名な科学者たちが、温室効果ガスを規制する政府の行動によって損失を被る立場にある自動車や石油などの産業によって資金を供給されているといったことになる[14]。

地球温暖化に関する国民の認識における世論調査の結果の概要は以下のようになる[15][16][17]。

 賛成
(アメリカ)地球温暖化はとても・非常に重要である[16]  49    2006  
(世界)気候変動は深刻な問題である[18]902006
(世界)人間の活動は気候変動の大きな要因である[17]792007
(アメリカ)すぐに主要な措置を講じることが必要である[17]592007
(アメリカ)  人間の活動のために地球はますます温暖化している[19]  492009

2007年にIpsos MORIによるイギリスの国民の認識におけるレポートは以下のように伝えていた。

原因と無関係に気候が変動しているとの広い認識が存在しており、88%がこれを真実であると考えている。

しかし世論は科学コミュニティの枠外に存在しており、41%が気候変動は人間の活動と自然のプロセスの双方によって引き起こされていると考えている。そして46%は人間の活動が主な理由であると考えている。

わずか少数のみが人為的な気候変動を否定しており、ほぼ半数(44%)が非常に関心を示している。しかし大多数がまだ完全には納得しておらず、脅威の程度において疑念を抱いたままである。

国民の間にはさらなる情報を求める強い傾向がまだ存在しており、63%が、彼らはこの問題における確かな見解に達するためにこれらの情報やそれが彼らにとって意味しているものを必要としていると述べている。

世論は気候変動を他の国民、場所、時代に対して具体化し続けている。そのことは、将来の世代に対し広範囲な影響を及ぼす世界の主要な問題としてますます認識されてきており、45%がそれは今日の世界が直面する最も深刻な脅威であると述べ、53%がそれは将来の世代に対し大きな影響を与えるだろうと考えている。しかし問題は国内や地域においてより小さな意味を示しており、事実9%のみが気候変動は彼らに個人的に大きな影響を与えるだろうと考えている。

カナダで放送に携わる環境活動家であるDavid Suzukiは、David Suzuki財団によって組織された主要なグループは世論が地球温暖化の背景にある科学に対して乏しい理解を示していることを明らかにしたことを伝えている[21]。このことは『不都合な真実』や『The 11th hour』のような映画を含むさまざまな手段を通じて広報されているにもかかわらず生じている。

乏しい理解の例として地球温暖化、オゾン層破壊や他の環境問題における国民の混乱が挙げられる[22][23]。

Pew Globalによって2006年に行われた15ヶ国の世論調査は「地球温暖化に関し大きなギャップが存在していることを示していた。日本人(66%)とインド人(65%)の約3分の2が彼らは地球温暖化について非常に懸念していると述べ、スペイン(51%)とフランス(46%)の人口の約半数が、問題について聞いたことがある人々に関して、地球温暖化について同様に非常に懸念していると述べている。しかし温室効果ガスの二大排出国であるアメリカや中国において地球温暖化に関する懸念の証拠が存在していない。問題を耳にしたことがあるアメリカ人のちょうど19%と中国人の20%が地球温暖化について非常に懸念していると述べており、それは調査対象の15ヶ国の中で最低の割合になる。さらにアメリカ人(47%)とそれより若干少ない中国人(37%)の約半数がほとんどもしくは全くその問題について関心がないと述べている」[24]。

Pew Global Attitudesによって2007年に行われた47ヶ国の世論調査は「多数派である37ヶ国中の25ヶ国が地球温暖化は「非常に深刻な」問題であると述べている」ことを示していた[25]。

科学者の見解と一般人の見解の間には違いが存在している。Pew Research Centerによる2009年の世論調査は「化石燃料を燃やすような人間の活動を理由にして地球はますます温暖化していると科学者たちの84%が述べる一方、一般人のちょうど49%がそれに同意していたこと」を示している[19]。BBCによるイギリスでの2010年の世論調査は「気候変動に懐疑的な割合が上昇している」ことを示していた[26]。Robert Watsonはこれを「非常に失望させることである」と示しており、「私たちは気候変動が深刻であると世論に理解させる必要があり、それゆえ彼らは彼らの習慣を変更し、私たちを低炭素社会へと移行させるだろう」と述べている。

1.2 関連した議論

地球温暖化に関するコンセンサスを得た見解に対する評論家の多くは全体的にもしくは部分的に、他の問題、特にオゾン層破壊、殺虫剤、受動喫煙のような環境リスクに関する問題における科学的コンセンサスに反対している[27][28]。『The Republican War on Science』の著者であるクリス・ムーニーは、懐疑的な科学者、コメンテーター、おそらく無関係な論争の中にあるシンクタンクといった重なる面があるグループの表面上の輪郭は科学的な分析を政治的イデオロギーとすり替える組織化された活動から生じていると主張していた。ムーニーは、科学的でなく政治的に論争になっている問題に対する疑念の助長がブッシュ政権下においてますます広く認められるようになっており、そのことはいつもそれ自体の政治的目標を達成するために科学的研究を歪め、隠匿してきたと述べている。このことは同様に『Crimes Against Nature: How George W. Bush and Corporate Pals are Plundering the Country and Hijacking Our Democracy』(ISBN 978-0060746872)といったタイトルをもつ環境弁護士であるRobert F. Kennedy Jr.による2004年の著作の主題になる。このトピックにおけるもう1冊は前アメリカ副大統領であるアル・ゴアによる『理性の奪還 もうひとつの「不都合な真実」』になる。このトレンドの初期の例はRoss Gelbspanによる『The Heat Is On』で扱われている。

地球温暖化に関する科学的コンセンサスに対する一部の批評家は、これらの問題はリンクされるべきでなく、それらへの言及は不当な人身攻撃を含んでいると主張していた[29]。政治科学者であるRoger Pielke, Jr.はムーニーに関して科学は必然的に政治と絡み合っていると主張していた。

2 主流派科学の立場とそれに対する疑念

気候が最近数十年で温暖化しており、人間の活動がすでに地球規模の気候変動に対し悪影響を及ぼしているといった知見は、主要先進国のすべての科学アカデミーを含む、気候変動に関する声明を発表したすべての国の科学アカデミーによって支持されている[32]。

最近の気候変動における論争はどのように地球温暖化が人為的な温室効果ガスと関係しているかを議論している。

2.1 コンセンサスに関する主張

多くの国々における環境団体、多くの政府によるレポート、メディアはしばしば、人為的な地球温暖化を支持する科学コミュニティにおいて実質的に全員の合意があると主張している[33][34][35][36]。主流派の科学評価に対する反対派の中の一部の者は、自然の力に関する人為的な地球温暖化(AGW)の定量的大きさや便益に対するその損害についての一般的な合意なしに気候に対し影響を及ぼす人間に対するコンセンサスが存在していると述べている[37]。他の反対派はその見解を完全に退け、彼らが定説のない科学であると述べるものを背景にした唯一の視点に焦点を当てることの危険性を強調し、科学は世論調査の結果でなく事実に基づくべきであると指摘している[38][39]。

環境ジャーナリストであるGeorge Monbiotは、2007年に公表された『500 Scientists Whose Research Contradicts Man-Made Global Warming Scares』[40]と題され、The Heartland Instituteによって配布されたリストはリストから除外されることを求める数多くの科学者たちを含んでいることを明らかにしていた[41][42]。The Heartland Instituteは名前を除外することに対する科学者たちの要望を拒絶し、科学者たちは「彼らが同意しない研究者によって作られた目録から彼らの名前が除外されることを要望する権利を法的にも倫理的にも保有していない」と述べていた[43]。

全米科学アカデミーの紀要にある2010年の論文は「1,372人の気候に関する研究者と彼らの出版物や引用データを分析し、(i)その分野において最も積極的に発表する気候に関する研究者の97-98%が気候変動における政府間パネルによって概説されたACCの主義主張を支持しており、(ii)関連する気候の専門性やACCに同意していない研究者の科学的意義は実質的にACCに同意した研究者のそれ以下であることを示していた」[44][45]。Judith Curryは「これは完全に合意されていない分析である」と述べ、一方Naomi Oreskesは、論文は「気候研究者の大多数が気候変動において合意している...合意していない人々は不幸にも--これはエリート主義に聞こえないように述べることが難しいのだが--実際の気候の研究者でないか生産的な研究者でないかのいずれかになる」ことを示していると述べている[45][46]。研究の共著者の1人であるJim Prallは「第三のカテゴリーとしていい加減さを含んでいることは手助けになるだろう」と認識していた[45]。

2.2 IPCCの権威について

気候変動における「標準的な」見解はIPCCのレポートによって定義されるようになり、それは多くの他の科学アカデミーや科学組織によって支持されている。2001年に16ヶ国の世界各国の科学アカデミーは気候変動に関し共同声明を行い、IPCCに対して彼らの支持を付与した[32]。

反対派は一般的にIPCCの進展、人々、総合判断やエグゼクティブサマリーのいずれかを攻撃していたが[47]、その科学レポートは注意を引かなかった。議論と批判のいくつかは、レポートを提出し、パネルで作業するためにIPCCによって招かれた専門家から生じていた。例えば、Richard Lindzenは公にIPCCの立場に反対している[48]。

ハリケーンの研究者であるChristopher Landseaは、私の専門性が関連しているIPCCの一部について、「私は個人的に事前に想定された議題によって動機づけられることや科学的に不健全であることの双方を私が認識しているプロセスに貢献することを善意で続けることはできない」と[49]、Landseaが認めていないKevin Trenberthによる記者会見でなされたコメントを理由にして、述べていた。Trenbertは「Landseaのコメントは正確でない」と述べ[50]、IPCCは「IPCCを代表して述べない限り、個人の科学者は彼ら自身の権利の中で彼らが思うことをすることができる」と答え、AR4のレビューフェーズにLandseaを含めることを提案した[31]。Roger Pielke, Jr.は「LandseaとTrenberthの双方が潔白を証明することが可能であり、そうすべきである...IPCCは政策立案者向けの最近のサマリーの中で熱帯低気圧と気候変動に対する科学的理解の状況を正確に報告した」とコメントしていた[50]。

2005年に上院の経済委員会は「政治的配慮によって明らかに影響を受けた排出のシナリオとサマリーの一部により、私たちはIPCCのプロセスの客観性についていくつかの懸念をしている」と記していた。それは大きい排出のシナリオに疑念を示しており、IPCCが委員会が「地球温暖化のいくつかの肯定的な側面」と呼んでいるものを「軽く扱っている」と述べていた[52]。上院の経済委員会の主な声明はイギリス政府[53]とスターン・レビューによって拒否された。

気候変動における人間の活動の影響に対し正確に科学的なコンセンサスを確立することの困難さについて、寄稿者であるJohn Christyはこう記していた。

寄稿者は本質的に、初めに少量の文章を寄稿し、最初の2本のドラフトをレビューすることが求められている。私たちは編集の決定を左右することはない。そしてさらに少ない影響が2,000人ぐらいのレビュアーに与えられている。このように、800人の寄稿者や2,000人のレビュアーがあらゆることについてコンセンサスに達したと述べることは現実とは異なる状況を描いている[54]。

彼はこう付け加えた。

私は私たちの気候の記録の精度について多くの論文を書いてきた。京都議定書の影響は、気候の自然変動や観測システムにおける精度の欠如により私たち科学者が測定できないほど小さいものになるだろう。言い換えれば、私たちはよく信頼された議員に、特定の規制がこの国や世界における気候に関して何かを達成すると述べることはできないだろう。さらに気候システムは非常に複雑であり、実際、予測可能な成果のために微調整されることは不可能である。

2008年12月10日にアメリカ上院環境・公共事業委員会のメンバーによって最も遠慮なく意見を述べる地球温暖化に懐疑的なJim Inhofeのリーダーシップの下で1つのレポートが公表された。レポートのタイミングはポーランドにあるポズナンでの地球温暖化防止会議と一致していた。それがIPCCからの科学的な反対意見をまとめたものであるとそれは述べている[55]。レポートに挙げられた個人の数についての声明の多くが、彼らが実際に科学者であるかどうかや彼らが彼らを原因とする立場を支持するかどうかといったことについて議論されていた[56][57][58]。

一部の批評家はIPCCが地球温暖化の可能性を過大に評価していると主張していたが、一方他は反対の批評を行っていた。サイエンティフィック・アメリカンに寄稿しているDavid Bielloは、政府代表の間でコンセンサスを形成する必要があるため、IPCCのレポートは地球温暖化における現実的な程度と影響について保守的な評価を与えていると主張している[59]。科学編集者であるBrooks Hansonは2010年の論説の中でこう述べている。「IPCCのレポートは気候変動のペースを過小評価しているが、一方温室効果ガスの排出を抑制する社会の能力を過大評価している」[60]。気候科学者であるJames E. Hansenは、IPCCの保守性はフロリダ南部の3分の1のように多くの低地を氾濫させるのに十分なメートルのオーダーで海面が上昇するリスクを深刻にも過小評価していると主張している[61]。Roger A. Pielke Sr.は同様に「人間は地球の気候を十分に変動させてきたが、二酸化炭素の排出の影響を上回る多様な方法によるものであり、地域や世界の気候を変動させる人間の気候に対する影響力の意義を認めることにおいて、IPCCの評価は非常に保守的だった」と述べていた[62]。

Henderson-Sellersは多くの懸念を明らかにする2007年のワークショップでIPCCの著者達からコメントを集めていた[63]。

2.3 温室効果ガス

最近の気候変動の議論は最近の地球温暖化の証拠を取り扱っている。CO2と気温の相関はこの証拠に含まれていない。それにもかかわらず、地球温暖化に対する議論は二酸化炭素(CO2)や他の温室効果ガス(GHGs)のレベルの上昇が地球温暖化と関連していないことを示している[64]。

氷床コアの研究は気温変化後の600±400年に沿っている[65]。最近の温暖化はわずか5ヶ月遅れた二酸化炭素のレベルによって説明されている[66]。そのタイムラグは、CO2の現在の増加は温暖化の結果であって、原因でないということを議論するために用いられていた。産業革命以前の気候変動は主に天文学的な力によって引き起こされていたことが一般的に合意されているが[67]、一方現代の温暖化の主要な要因はCO2の人為的な排出によって引き起こされていることが見出され、過去に観察されたことがないそのかなり緊密な関連を示している(したがって人間のCO2排出の意味に対する議論に戻ることになる)。大気中のCO2における炭素同位体の分析は、最近観察されたCO2の増加は、海洋、火山、生物圏由来のものでなく、したがってもし過去の期間において生じた同じプロセスが現在進行中ならば要求されるだろう気温の上昇に対する反応とはならないことを示している[68]。

二酸化炭素は地球の大気において390百万分率(ppm)を占めており、1830年代の284ppmから2009年の387ppmに増加している[69][70]。二酸化炭素は自然の温室効果の9%から26%の間に寄与している[71]。

古生代のオルドビス紀(約450,000,000年前)には地球の大気中のCO2の濃度は4400ppm(もしくは大気の0.44%)と推定されており、同時にいくらかの氷河作用の証拠も示していた。モデルによる研究は、高い大気中のCO2の濃度にもかかわらず300-500m以上の標高の地域が一年中雪に覆われていたことを示していた[72]。2006年の研究は、増加したCO2のレベルと氷河作用は同時に生じておらず、むしろアパラチア山脈の隆起と浸食に関連した風化作用が主に大気中の温室効果ガスを減少させ、観察された氷河作用を導いたと示唆している[73]。

上記で述べられているように、気候モデルは、温室効果ガスの影響を含む過去の世紀における気温の記録をシミュレートすることができるのみであり、IPCCの知見と一致しており、それはこう述べている。「主に人間の活動の結果である温室効果ガスの影響は過去50年以上観測された地球温暖化の大半の原因となる蓋然性が高いものであった」[74]。

将来における大気中の温室効果ガスに対するシナリオの「標準的な」セットはIPCCのSRESのシナリオになる。その範囲のシナリオの目的は、どれほど妥当なコースを将来の排出が選択するのかや、どういった影響をその排出はある範囲の可能な人口、経済、社会的トレンドの下で及ぼすのかについて予測していない[75]。気候モデルは、気候変動のための異なった結果を説明するためのインプットとしてのあらゆるシナリオを用いて分析されることが可能である。どのシナリオも公式に推奨されていないが、実際大気中のCO2における1%/年の増加に大雑把に対応している「A1b」のシナリオがしばしばモデル研究のために用いられている。

化石燃料消費のためのさまざまなシナリオについて論争が存在している。地球温暖化について懐疑的なFred Singerは、大気中のCO2の濃度は経済が炭素にそれほど依存していないので2倍にはならないだろうと「一部の公正な専門家が考えている」と述べていた[76]。

しかし多くの他の報告書のようにスターン報告[77]は、CO2の排出と経済成長の過去の相関に言及しており、GDP成長とCO2レベルを予測するために「通常業務を仮定した」シナリオを用いて外挿を行っており、こう結論づけている。

化石燃料の不足分が増大することは結局のところ排出の増加を止めることにはならないだろう。抽出することが有益な炭化水素のストックが、気候変動への影響に対し非常に危険な結果をともなう750ppm以上のCO2のレベルを世界にもたらすのに十分な程度以上に存在しているからである。

ローレンス・リバモア国立研究所によると、「地球は、もし人間が2300年までに地球全体で利用可能な化石燃料を使用するならば8℃(14.4℉)分温暖化するだろう」との言及がある[78]。

2.4 太陽の変動

主流派科学の地球温暖化に対する評価に反対している科学者たちは地球温暖化の原因に関してさまざまな意見を表明している。一部は人間が地球温暖化の主な原因であるかどうかについてまだ確かめられていないとだけ述べ、他方は地球温暖化の原因を自然の変動、海流、増加した太陽の活動や宇宙線で説明している。コンセンサスの立場は、太陽の放射は、純粋に人為的な影響である1.6W/㎡と比較し、1750年以来0.12W/㎡増加しているかもしれないといったことになる[79]。TARは「2つの主な自然の要因(太陽の変動や火山性のエアロゾル)の放射における影響の複合変化が過去20年そしてひょっとすると40年間マイナスに作用していたと評価されている」と述べた[80]。AR4は太陽の影響における最近の役割について直接的に断言していないが、以前の声明はAR4の図4と一致していた。

いくつかの研究は、太陽活動の現在のレベルが太陽黒点の活動や他の要因によって決定されるように歴史的に高いものであると述べている。太陽活動は、太陽から発せられるものにおける変化やより理論的には形成された雲の総量における間接的な影響によって気候に影響を及ぼしている可能性があった。Solanki達は、最近の60年から70年間における太陽活動は8,000年間における最も高いレベルに達しているかもしれないことを示唆していた。Muscheler達は、活動の比較的高いレベルが最近数千年において何回か発生していたとの示唆に同意していなかった[81]。Muscheler達は「太陽活動の再活発化が私たちに、最近の地球温暖化のわずかな割合しか変動する太陽活動によって説明されることができないといったことを述べている」と結論づけていた[82]。Solanki達は「太陽変動は過去30年間において強い温暖化の主要な原因になりそうもなく、せいぜい強い温暖化の30%が太陽由来だろう」と結論づけていた[83]。

他の論点は気温と太陽変動との相関関係になる[84]。

Mike LockwoodとClaus Fröhlichは、約1850年以来の地球の平均表面温度の記録により観測される温暖化は太陽変動の結果であることを意味しているといった表明を拒否していた[85]。LockwoodとFröhlichは「どのメカニズムが援用されようとも、どれほど太陽変動が増幅されようとも、1985年以後観測される地球の平均気温の急速な上昇は太陽変動を原因にしていない」と結論づけていた。

2.5 エアロゾルの影響

1940年代から1960年代にかけての温暖化の「一時休止」は硫酸塩のエアロゾルの冷却効果に一般的に起因している[86][87]。最近ではこの効果は地域によってばらつきがあるが、この影響は(相対的に)減少しており、それは温暖化を促進させているかもしれなかった(地球薄暮化を参照せよ)。このもう1つの例は太陽の増光を原因とするヨーロッパにおけるエアロゾル濃度の60%の減少を見出したRuckstuhlの論文の中にある[88]。

[...]エアロゾルによる直接の影響は間接的なエアロゾルや雲の影響より約5倍大きい気候への影響を有していた。地表の気候に誘発される全体のエアロゾルや雲の影響は~+1 W m−2 dec−1になり、それはヨーロッパにおける最近の急速な温暖化に最も強く寄与していた。

2.6 気温の記録に対する信頼性

2.6.1 計器による気温の記録

懐疑論者は、都市のヒートアイランド現象に基づいた計器による気温の記録の精度、地表にある測候所のネットワークの質、そして気温の記録に対する保障されていない調整として彼らが眺めているものに疑念を呈していた。

懐疑論者は、より多くの人口密集地域に位置する測候所は地球の気温上昇よりむしろ都市によって生み出された熱の増大による温暖化を示している可能性があると主張していた[89]。IPCCの第三次報告書は、都市のヒートアイランドは重要な局所的効果になることを認識していたが、地球の温暖化のトレンドに対する都市のヒートアイランドの影響は1990年を通じ0.05℃(0.09℉)程度であることを示唆する史的データの分析を引用していた[90]。最近では、Peterson(2003)は都市部と農村部で観察された温暖化に違いがないことを見出していた[91]。

Parker(2006)は、風のない夜と風が強い夜の間における温暖化について違いがないことを見出していた。都市のヒートアイランド現象は風のない夜に一番強く表れるので、このことは、地球の気温におけるトレンドが都市の現象によって十分な影響を受けていないといった証拠として把握されていた[92]。PielkeとMatsuiはParkerの結論について同意しない論文を発表していた[93]。

最近ではRoger A. PielkeとStephen McIntyreがアメリカの計器による気温の記録やそれに対する調整を批判しており、Pielke達はアメリカにある多くの測候所の立地の質の悪さを批判していた[94][95]。これに反応してAnthony Wattsはこれらの測候所の立地の質を写真を用いて文書化するためにボランティア活動を開始していた[96]。Wattsの仕事に基づき、Stephen McIntyreは、CRNレベル1(最高)やレベル2(良い)であるための必要条件を満たしていると認められたこれらの測候所のみを用いたアメリカの気温の歴史的データの再編成を終えていた。より高い質を保つ測候所は、アメリカにおいて最も温暖な年は1934年と1921年になり、1998年と2006年が後に続くことを示唆していた[97]。McIntyreは彼の知見を他者が再現できるように方法、データ、コードのすべてを作り上げていた。McIntyreの分析は査読誌で公表されることはなかった。

Joe D'Aleoや他の気候懐疑論者は同様に、NOAAやGISSの気温の記録は世界の平均気温を計算するために用いられた測候所の数の減少により温暖化のトレンドを示していることを示唆していた。彼は、温暖化のトレンドを示すために測候所をいいとこ取りしたことによりこれがなされたと述べていた。特に、気温の記録を有する大規模な地域はその地域の他の測候所から派生しているに過ぎないと述べていた。例えば、内陸で高い海抜高度にあるボリビアは、その気温をアマゾン流域やペルーのようなより低い海抜の地域から派生させていた[98][99][100]。

2.6.2 対流圏気温の記録

大循環モデルや基本的な物理の知識は、熱帯地方において対流圏の気温は地表の気温より急激に上昇するはずであると予測していた。アメリカの気候変動科学プログラムにおける2006年のレポートは、モデルや観測がほとんどの観測されたデータセットにおいて数十年の時間スケールでなく月次および経年の時間スケールにおける上昇に一致していたと述べていた。改善された測定と解析技術はこの溝を埋めており、補正されたブイや衛星の表面温度はわずかに涼しく、熱帯対流圏における補正された衛星やラジオゾンデの測定はわずかに暖かかった[101]。衛星の温度測定は、対流圏の気温が「地表の気温のそれに類似した割合」で上昇しており、IPCCにこの溝が埋められることを結論づけるよう促していた[102]。

2.6.3 南極の寒冷化

さまざまな個人、特に作家であるMichael Crichton[103]は、南極の気温測定[104]は地球温暖化と矛盾していると主張している。観察は明確にその半島が温暖化していることを示している。そのトレンドはほかのところでは温暖化と寒冷化の双方を示しているが、より小さな幅になり、トレンドが計算される季節とタイムスパンに依存している[105][106]。気候モデルは、南極における将来のトレンドは北極に比べて小幅になると予測している[107]。

論争は大衆紙やブログに限られており、科学コミュニティ内で行われた関連した論争の証拠は存在していない。Crichtonによって引用された論文の主執筆者であるPeter Doranは「...私たちの結果は『State of Fear』の中でCrichtonによって地球温暖化に反対する『証拠』として誤用されてきた...」と述べており、例えばRealClimateのような他は矛盾がないことに合意している[109]。

2.7 気候感度

平衡気候感度は、放射強制力(RF)における単位変動にしたがった全球平均地表面温度(ΔTs)における平衡の変動に関係している[110]。

ΔTs=λRF, λは気候感度パラメータである[111]

気候感度は通常、大気中のCO2の倍増による全球平均気温の上昇として表現される。この値はIPCC第4次評価報告書によって推定され、それは「約3℃という最良の推定値を含む2から4.5℃の範囲に収まる可能性がある」。

地表面温度履歴と海洋貯熱量の組合せを用いて、Stephen E. Schwartzは、倍増されたCO2のために1.9±1.0Kといった気候感度の推定値を提案し、1.1±0.5Kから上方に改訂していた[113]。Grant Foster、James Annan、Gavin Schmidt、Michael E. Mann[114][115]は、Schwartzの分析の双方のバージョンに誤りがあると主張していた。天文学者であるNir Shavivは同様に0.35+/-0.09°K/(W/m2)といった気候感度に対する値を計算しており、それはさまざまな史的データセットと一致していた[116][117]。Petr Chylekと共著者は同様に倍増したCO2に対する低い気候感度を提案しており、1.6K±0.4Kになると推定していた[118]。

2.8 赤外線アイリス仮説

Richard Lindzenは、気候変動を安定化する傾向にある気象プロセスを補う赤外線アイリス仮説を提案していた[119]。Roy Spencer達は「アイリス」効果の考えを「潜在的に支持するかもしれない」熱帯の季節内変動において海洋-大気系への熱のインプットにおける純減を発見したが、彼らの仕事はかなり短期間のスケールに関連していることを指摘していた[120]。他の分析は、アイリス効果がLindzenによって提案された否定的なフィードバックよりむしろ肯定的なフィードバックになることを見出していた[121]。

2.9 内部における熱の放射の影響

Roy Spencerは「内部における熱の放射」が気候変動に影響を与えているとの仮説を立てた[122][123]。

[...]自然の気候変動を観察するとき原因と結果をごちゃ混ぜにすることは、気候システムが温室効果ガスの排出に対して実際以上に敏感であるとの間違った結論につながる可能性がある. . . .それは、地球温暖化は主に自然内部の気候変動の現れであるといった(少数派の)見方に対し定量的なメカニズムを与えている。

[...]1900年以来の南方振動や太平洋十年規模振動指数の加重平均に比例すると仮定される1Wm-2以上の低周波の内部における熱の放射は観測同様の海洋温度の振る舞いを生み出している。観測された100年の気温のトレンドの70%も同様であるが、1900年から1940年まで温暖化し、1970年代を通じてわずかに寒冷化し、その後現在まで再び温暖化している。

Spencerの仮説は2011年に査読雑誌であるRemote Sensingで公表された。

2.10 気温の予測

将来の気温上昇における従来の予測は将来のGHG排出(SRESを参照せよ)や気候感度の推定値に依存している。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって参照されるモデルは、地球の気温が1990年から2100年までに1.1から6.4℃(2.0から11.5℉)まで上昇する可能性があると予測している。他は、気温の上昇がIPCCが推定する以上に高くなるかもしれないと提案している。ある説は、正のフィードバック効果が急変する地球温暖化を導く「転換点」に気候が達するかもしれないとの立場を取っている。海氷の融解、より暗い海水の出現、永久凍土の融解からのメタンにおける潜在的な大量放出のようなフィードバックは太陽から放射される熱における反射の減少を含んでいる[124]。

検証される予測の例は1959年に遡り、Bert Bolin博士は全米科学アカデミーのスピーチで、2000年までに1859年のレベルと比較し大気中の二酸化炭素が25%増加するだろうと予測していた。この予測は過小推定であると証明された。2000年までの実際の増加は約29%になる[125]。

David OrrellやHenk Tennekesのような一部の科学者たちは、気候変動を正確に予測できないと述べている。Orrellは、IPCCによって提案された気温の将来における上昇のレンジがいくらか気候コミュニティ内の社会的コンセンサスを表していると述べるが、「私たちは気候に対し危険な影響を及ぼしている」と付け加えている[126]。

David Douglass達による2007年の研究は、IPCCによって用いられた22の最も一般的な地球気候モデルは対流圏における加速している温暖化を正確に予測することはできないが、それらは実際の地表の温度に一致しており、「これらのモデルに基づく将来の気候の予測は注意をもって眺められるべきである」と結論づけていた。この結果は、モデルの予測と実際の気温との不一致が測定誤差によるものであると見出した19のモデルの類似した研究と対照的である[127]。

2.11 予測の信頼度

IPCCは大循環モデルやGCMsからの予測の信頼性を増加させていると述べている。AR4の第8章にはこう記されている。

特に大陸以上をスケールにした場合、将来の気候変動において信頼できる定量的な推定値を気候モデルが与えていることに対しかなりの信頼が存在している。この信頼は、許容される物理原則の基礎や現在と過去の気候変動における観測された特性を再現する能力から生じている。モデルの推定値に対する信頼性は他(例えば、湿度)よりもいくつかの気候変数(例えば、気温)に対してのほうが高いものになる。数十年にわたる開発を通じ、モデルは一貫して温室効果ガスに対応する大幅な地球温暖化に対する頑健で明確な青写真を与えていた[128]。

懐疑論者であれ他であれ、ある科学者たちは、将来の気候を予測するモデルの能力に対するこの信頼性は妥当でないと考えている[131]。

2.12 北極の収縮

気温の上昇に関した未解決の疑問は、夏場において北極海は無氷になるのか否か、それはいつ頃か(冬の海氷はすべてのシナリオにおいてそのままである)になる。2007年に最低の記録を示しているが[127]、アメリカの国立雪氷データセンターの責任者であるMark Serrezeは「もしあなたが数年前に私にいつ北極はその氷のすべてを失うのかと尋ねるならば、私は2100年もしくは2070年かもしれないと答えていただろうが、今は私は2030年が合理的な推定値であると考えている」と述べていた[133]。

2.13 データのアーカイブ化と共有

科学雑誌や資金提供機関は一般的に査読研究の著者たちに彼らの研究を再現するために必要なすべてのデータをアーカイブ化することを求めている。もし別の科学者が研究を再現しようとし、追加的なデータを必要としているならば、著者たちは(若干の例外はあるが)必要とされるかもしれないデータ、メタデータ、方法、ソースコードを与えることを期待されている。

David Legatesは、そのホッケーのスティックの形をした歴史的な気温の再現で有名なMann, Bradley and Hughes 1998がこれらの政策を遵守しない気候科学者たちの例になると記しており、議会が最終的にそれらを実施する行動をとる可能性があることを示唆していた[134]。

2.14 科学者たちの間の賭け

他の種の先物市場と同様に気候先物の予測市場は気候変動における市場のコンセンサスを形成するために利用されることができる[136][137]。市場の枠組みの外で時折賭けが行われている。イギリスの気候科学者であるJames Annanは、将来の気温が上昇するかどうかについて地球温暖化の懐疑論者と賭けをすることを提案していた。ロシアの太陽物理学者である2人、Galina MashnichとVladimir Bashkirtsevは2012-2017年の地球の平均気温が1998-2003年より低くなるだろうといったことに対して$10,000の賭けをすることを受け入れた[137]。Annanは最初に直接Richard Lindzenに話を持ちかけた。Lindzenは地球の気温が今後20年間で低下するだろうといったことに賭けるつもりだった。AnnanはLindzenが気温の低下に対し50-1のオッズを希望していたと述べていた。しかしLindzenは0.4℃以上の気温の上昇に対して2-1のオッズを求めていたと述べていた[138]。ガーディアンのコラムニストであるGeorge MonbiotはCompetitive Enterprise研究所のMyron Ebellに対し地球寒冷化に対する地球温暖化に関し£5,000を賭けることを望んでいた[139]。Annanやそのコンセンサスに対する他の擁護者は、地球温暖化を超えた受け入れられない賭けのために他の懐疑論者に対し疑念を示すことを述べており[140]、気温が10年後より寒冷化することに対する1998年にPatrick Michaelsによって提案された賭けを受け入れる2005年のAnnanの試みを含めていた[141]。

3 政治性

アメリカでは地球温暖化はしばしば党派政治の問題になる。共和党は彼らが証明されていないものとみなしている脅威に対する行動に反対する傾向があり、一方民主党は温室効果ガスの排出をコントロールすることを通じて地球温暖化やその影響を減少させるだろうと彼らが考えている行動を支持する傾向がある[142]。最近では超党派的対策が導入されている[143]。

気候学者であるKevin E. Trenberthはこう述べている。

SPMは政府によって一行ずつ承認されていた[...]。ここでの議論は科学者たちが何を発言することができるのかを決定することであるが、政府はそれをどのように発言することが妥当であるかを決定していた。交渉は、メッセージの正確性、バランス、明確さ、了解事項と政策に対する関連性を確かめるための言葉遣いにおいて行われていた。IPCCのプロセスはバランスの取れた評価を行うための参加者の良心に依存していた。しかし上海では、サウジアラビアで最も顕著であるものの、レポートにおけるメッセージを弱めそして難読化させようとする行為があったように思われた。このことは当たり障りのない言葉遣いや何が議論の余地のない文言になるべきかについて非常に長引く議論を導いていた...IPCC(2001)のSPMにおける最も論争を呼ぶパラグラフはその議論に対する結論だった。かなりの論争の後、次のような文言が注意深く練り上げられた。「新たな証拠に照らし、残っている不確実性を考慮すると、最近の50年間において観測された温暖化は温室効果ガス濃度の上昇によるものである可能性が高かった」[144]。

さらなる証拠が地球温暖化の存在以上に利用されるようになると、議論はさらに論争の多い問題に移っていった。これは以下を含んでいた。

社会環境へのインパクト、気候変動に対する適切な対応、決定がより少ない不確実性を要求するかどうか。

1つであるが最大の問題は気温に関し数度上昇することの意味になる。

ほとんどの人々は「数度、それが何、もし私が私のサーモスタットを数度変更するならば、私は快適に暮らすことができるだろう」と述べている...[その]要点は、1、2度は私たちが過去10,000年もしくは人類の文明の時代における歴史的体験に関することになるといったことである。私たちが体験するだろう地球規模で平均された1度程度以上の変動はこれまで存在していなかった。したがって、もし私たちが1、2度以上の温暖化を経験するならば、過去10,000年において比較的穏やかだった気候の観点から私たちは実際に未知の領域に立ち入ることになる(Stephen H. Schneider[145])。

それが重要な経済的インパクトを有する可能性があるので、主要な議論を導く他の観点は、アクション(普通は二酸化炭素の排出を減らすために化石燃料の利用を制限することを示す)が現在もしくは近い将来において取られるべきかどうかや、これらの制限が地球の気温に意味のある影響を及ぼすかどうかになる。

このような制限の経済的影響から、排出規制のマイナスの経済効果は環境上の便益を上回ると強く感じるケイトー研究所のようなリバタリアンのシンクタンクを含む人々が存在していた[146]。地球温暖化が化石燃料の燃焼によってのみ生じたとしても、それらの利用を制限することは地球の気温上昇よりも世界経済に有害な影響を与えるだろうということを彼らは述べていた[147]。

アメリカにおける石炭、電気、経済成長の間のリンケージはその可能性と同じぐらい明白であった。そしてそれらは私たちの生活様式、私たちが働く方法、私たちの未来のために必要とされていた。石炭火力発電は必要なものであった(Fred Palmer, President of Western Fuels Association[147])。

反対に、他は、排出を削減する早期の行動が後のはるかに大きい経済コストを回避し、壊滅的で不可逆的な変動のリスクを軽減するだろうと強く感じていた[148]。2006年12月の著作の中で、Hell and High Waterのエネルギー技術の専門家であるJoseph J. Rommは行動することの緊急性とアメリカがそうすることを拒否した悲しい事実を論じていた...

しかし結局のところ、気候変動に対する行動に賛成するか反対するかといった厳密な経済に関する議論はせいぜい限られたものであり、変動に対する他の潜在的なインパクトを考慮に入れることに失敗していた。

Council on Foreign RelationsのシニアフェローであるWalter Russell Meadは、2009年のコペンハーゲンサミットは環境保護主義者が「バンビからゴジラに」変わったために失敗したと主張している。Meadによれば、環境保護主義者は、複雑な状況における単純だが巨大な解決をもたらそうとする政府のプログラムに対し有効な議論を呈してきた少数の懐疑論者を代表したものだった。地球温暖化に対する巨大な経済や社会における介入を擁護する最近の環境保護主義者は、Meadによれば、彼らを「終身雇用を確保され、テクノクラート化した支配階級の声」に変え、これゆえ地球温暖化にますます懐疑的な人々の支持を失っていった[149]。

3.1 京都議定書

京都議定書は気候変動に関する最も有名な国際的合意であり。また非常に物議を醸している。一部は、それは行き過ぎであるか[150]、もしくは温室効果ガスの排出を制限には十分でないかもしれない[151]と主張している。論争の別の領域は、中国やインドのような世界の二大人口を抱えている国々は議定書を批准していたが、現在の合意の下では炭素排出の増加を削減し、制限しさえすることは求められておらず、一人当たりの温室効果ガス排出を例に挙げると、例えばCO2換算で22.9t排出している一人当たりで14番目の立場にあるアメリカと比較すると、それらはそれぞれCO2換算で3.9t排出している一人当たりで121番目であり、CO2換算で1.8t排出している一人当たりで162番目であるランキングに位置している。それにもかかわらず中国は世界第2位の温室効果ガス排出国であり、インドは第4位である(温室効果ガス排出に関した国々を参照せよ)。様々な予測は、2007年後半から2010年にかけてすべての温室効果ガス排出において中国はアメリカを追い越しており[152][153][154]、多くの他の推定値によれば、これは2006年にはすでに生じていた[155][156]と伝えている。

さらに排出を削減するための高いコストがかなりの生産をインドや中国のような条約でカバーされていない国々に移転させるかもしれないとFred Singerは述べている[157]。これらの諸国はエネルギー効率が低いので、このシナリオはさらなる炭素排出の原因になっていると言われている。

2010年5月にThe Hartwell Paperはオックスフォード大学と協力してロンドン・スクール・オブ・エコノミクスによって公表された[158]。この論文は自然科学、人文科学におけるさまざまな分野からの14人の研究者や数人の政治思想家によって書かれており、彼らは、京都議定書が2009年後半に崩壊しており、「15年間温室効果ガスを認識可能な程度に現実世界において削減することに失敗していた」と主張していた[158]。彼らは、この失敗は京都議定書から離れた気候政策を設定する機会を設けていたと主張しており、その論文は世界経済を脱炭素化するための論争の多い断片的なアプローチを擁護していた[159][160]。The Hartwell Paperは「私たちの所産をまとめた原則は3つの包括的な目標を通じ人間の尊厳を提唱すべきであり、それらの原因が何であれ、すべての人たちに対してエネルギーへのアクセスを保障し、地球システムの基本的な機能を損なわない方法で私たちが発展することを保障し、すべての異常気象から生じるリスクや危険に耐えられるよう私たちの社会が十分に備えていることを保障することが含まれる」と提案している[158][159][160]。

京都議定書に署名したが批准していない唯一の主要な先進国はアメリカになる(署名国を参照せよ)。京都議定書で公式に関わりをもっていない国々は発展途上の科学のインフラをもつアフリカの国々と産油国になる。

3.2 党派のための資金供給

論争の双方が、資金へのアクセスが発言する信任された専門家の意思においてある役割を果たしていると主張している。

グリーンピースによれば、アメリカの情報公開法の下で彼らが手に入れた文書は、Charles G. Koch財団が2005年6月と再び2010年に合計$175,000のグラントをWillie Soonに与えていたことを示している。2001年から2007年の間にアメリカ石油協会から合計$274,000の複数のグラントがあり、2005年から2010の間にエクソンモービルから合計$335,000のグラントがあった。彼を援助していた他の石炭石油産業の資金源はモービル財団、テキサコ財団、アメリカ電力研究所を含んでいた。すぐに彼はこの金銭を受け取ったことを認め、彼は「いかなる科学的研究においても今までに一度も金銭的報酬によって動機付けされたことはない」と明確に述べていた[161]。

グリーンピースの研究プロジェクトであるExxonSecretsやさまざまな研究者同様にガーディアンで執筆しているGeorge Monbiotは、何人かの懐疑的な科学者であるFred Singer、Fred Seitz、Patrick Michaelsを、地球温暖化懐疑論を進めるためにエクソンモービルやフィリップモリスによって資金供給された組織に結びつけていた[164]。同様にGeorge C. Marshall研究所のような地球温暖化懐疑論者を採用しているグループは化石燃料企業との結びつきを批判されていた[165]。

2007年2月2日にガーディアンは、AEIの客員研究員であるKenneth Greenがイギリスやアメリカにいる科学者に手紙を送り[168]、特にIPCCの第4次評価報告書について「IPCCのプロセスの強みと弱みを強調する」ためのエッセイの見返りとして$10,000に加え旅費やその他の費用を提供することを述べていたと伝えていた[166][167]。

Intermountain Rural Electric Association(石炭を燃焼する発電所から電気の大部分を引いてくるエネルギー協同組合)が$100,000をPatrick Michaelsと彼のグループであるNew Hope Environmental Servicesに寄付し、そのメンバーからさらに個人的な寄付をせがまれたことが明らかにされたとき、騒動が起こった[169][170][171]。

憂慮する科学者同盟は、「タバコ産業以来の最も洗練され成功した偽情報を流すことを引き受け」、「その問題における不確かさをでっち上げるイデオロギー的なそしてその立場を擁護する組織のネットワークに1998年から2005年の間に約$16,000,000を供与した」ために、エクソンモービルを批判した『Smoke, Mirrors & Hot Air』と題されたレポートを公表した[172]。2006年にエクソンはこれらのグループにもはや資金を供給していないと述べたが[173]、この声明はグリーンピースによって疑問を呈されていた[174]。

懐疑論のグループであるThe Center for the Study of Carbon Dioxide and Global Changeは、彼らがまとめたビデオの資金供給について疑念を呈されたときに(石油産業から『The Greening of Planet Earth』に対して$250,000供給されていた)、「私たちがある時代に「一般的に受け入れられた」ものよりはるかに正確であると考えている議論の一面を公表する彼らの意思を理由にしてWestern Fuelsを私たちは賞賛する。しかしこのことは彼らがThe Centerに資金供給していることを意味していないか? おそらくそれは私たちが彼らに資金供給していることを意味している!」と述べていた[175]。

Scienceの編集長であるDonald Kennedyは、Michaelsのような懐疑論者は研究者というよりロビイストであるが、ロビー活動が倫理的でないのと同様にそれが倫理的でないとは考えていないと述べていた。彼は、懐疑論者への寄付が「政治的メッセージを理解させようとすること」に等しいと述べていた[176]。

以下のような多くの地球温暖化の懐疑論者は、助成金は地球温暖化の理論の支持者に対して優先的に与えられていると主張している。大気科学者であるReid Brysonは2007年6月に「ここにはたくさんのお金がある...もしあなたが著名な科学者になりたいなら、あなたはたくさんの大学院生とたくさんのグラントを取る必要がある。もしあなたが「ああ、地球温暖化、すべてイエスだ、二酸化炭素もそうだ」と言わなければ、あなたはグラントを手に入れることができない」と述べていた[177]。同様の立場は、気候学者であるMarcel Leroux[178]、NASAのRoy Spencer、気候学者でIPCCの寄稿者であるJohn Christy、ロンドン大学の生物地理学者であるPhilip Stott[179]、Accuracy in Media[180]、2009年の『Heaven and Earth -- Global Warming: The Missing Science』と題された著作の中でIan Plimerによって擁護されていた。

MITの気象学におけるthe Alfred P. Sloan ProfessorであるRichard Lindzenは、「1989年の冬に、[MITの]気象学の教授であるReginald Newellは過去一世紀以上の温暖化の結果を示すことに失敗していたデータ分析に対し資金供給していたNational Science Foundationを失うことになった」との特定の声明を行っていた。Lindzenは同様に、4人の科学者たちが地球温暖化の科学的基盤に疑念を示した後「明白に」彼らの資金供給源や地位を失っていたことを示唆していた[181]。しかしLindzen自身は、OPECやThe Western Fuels Associationのようなエネルギー権益から生じた金銭の受領者であり、アメリカ国立科学財団、エネルギー省やNASAを含む連邦政府から資金供給を受けることと同様に「コンサルティングサービスのために1日につき$2,500」[182]の資金供給を受けていた[183]。

3.3 温暖化に対する最も効果的な対応をめぐる論争

近年では一部の懐疑論者は地球温暖化に関する彼らの立場を変えている。Global Warming and Other Eco-Myths(2002年にThe Competitive Enterprise Instituteによって公表された)の著者のRonald Baileyは2005年に「地球温暖化は存在していないという考えを未だに支持している者は誰でも引退しなければならないだろう」と述べていた[184]。2007年までに彼は「海面上昇のような事項は研究者によって議論され続けるだろうが、もし人類が地球温暖化に寄与しているかどうかに関する議論が以前に終わっていなかったならば、新しいIPCCのサマリーが気候変動における楽観主義者はもはや批判に耐えることができないと見なすので、その議論は現在になるだろう」と述べていた[185]。

「唯一の適切な政策面の対応はすぐに排出を削減することであるといった(気候変動における運動における)主張に対し代替案が存在している....温室効果ガス排出に上限を設けることは最終的にはエネルギー生産を制限することになるだろう。賢明な気候政策は気候変動に順応する力に回復する力を加えることを強調するだろう....私たちは気候変動に順応するための戦略を考慮すべきである。オランダ人が私たちに教えてくれるように、海面の上昇は世界の終わりを意味していない。」と保守的なシンクタンクであるアメリカンエンタープライズ研究所のSteven F. Haywardは述べている[186]。Haywardはまた「地球のさまざまな部分が受け取る日射量のバランスを再度とるために軌道上に鏡を」載せることを主張しており、それは日射量の管理のためにいわゆる地球工学を用いた宇宙における日よけを示していた。

2001年の質問に対する回答の中でRichard Lindzenは「京都議定書を除いて、私たちは二酸化炭素を削減しようとするべきだろうか? 地球温暖化に関する私たちの懸念はアクションを必要としているだろうか? 私たちは私たちの対応に優先順位をつけるべきである。あなたは「コストがどれほどかかろうとも、便益がどれほど小さかろうとも、私たちはこれをすることができない」と述べることができない。もし私たちが本当に温暖化を懸念しているならば、私たちはすでに私たちが順応しようとしていることを選択している...私たちがバングラデシュよりはるかに事態に対し順応している理由は私たちがより豊かであることによる。あなたは、私たちが可能な限り丈夫で豊かであり、世界における貧しい人々が同じように可能な限り丈夫で豊かであることを確認することに意味があると考えていないだろうか?」と述べていた[187]。

他は、もし途上国がアメリカの富のレベルに達するならば、これはCO2の排出や化石燃料の消費を非常に増加させるだろうと主張している。インドや中国のような大きな途上国は、経済成長により、次の数十年間で、温室効果ガスの主要な排出国になるだろうと予想されている[188][189]。

Sherwood IdsoやS. Fred Singerのような多くの気候変動懐疑論者を「環境タスクフォース」が抱えている保守的なNational Center for Policy Analysis[190]は「気候変動政策に対する大きなコンセンサスは、順応することがCO2排出を制限する取り組みよりはるかに気候感度のリスクから現在や将来の世代を保護するだろうといったことになる」と述べている[191]。

順応するのみの計画がエクソンモービルのような石油企業によって承認されており、「エクソンモービルの計画は、そのコースに留まり、変動が生じたときに調整しようとするように思われる。この企業の計画はリーダーシップをとることに反対しており、順応することを含むものになる」[192]とCeresレポートは伝えている[193]。

Gregg Easterbrookは自身を不必要な警告に長く反対していた立場として特徴付けていた。2006年に彼は「データに基づけば私は現在地球温暖化について懐疑論から立場を転向し、多くの科学者たちは、彼らが、人間の活動が地球温暖化の原因になっていることを示唆するあらゆる科学的結果をゆがめるかもしくは隠すことを意図した大きな圧力の下におかれていたと述べていた。アメリカ下院の監視・政府改革委員会に報告された気候科学者たちの調査は「すべての回答者のほぼ半数がさまざまな会話の中において「気候変動」「地球温暖化」や他の類似した用語を排除するための圧力を認識し、個人的に経験していた」と記していた。これらの科学者たちはブッシュ政権の気候変動に対する懐疑論に合わせるために彼らの地球温暖化に対するレポートを合わせるよう圧力を加えられていた。いくつかのケースでは、このことは元の石油産業のロビイストの要求によって生じていた[205]。2008年6月にNASAの監査総監局によるレポートは、ホワイトハウスによって任命されたNASAのスタッフが、2004年の大統領選挙と関連する論争からブッシュ政権を守るため、地球温暖化に対する科学的データを検閲し、隠匿してきたと結論づけていた[206]。

ブッシュ政権は同様に順応のみを採用する政策に対する支持を表明していた。「ブッシュ政権における紛れもないシフトとして、アメリカは気候報告[U.S. Climate Action Report 2002]を国連に送り、地球温暖化がアメリカの環境に与える具体的かつ広範囲の影響を詳細に述べていた。レポートの中で政権は初めて、温室効果ガスを大気中に排出する主なものとしての化石燃料の燃焼といった人間の活動による最近の地球温暖化に対しかなり責任を負わせていた。」しかしレポートは「温室効果ガスに対する政権の政策における大きなシフトを提起していなかった。そのかわりにそれは温暖化を制限するために温室効果ガスを急激かつ大幅に削減するかわりに避けられない変動に順応することを勧告していた」[195]。この立場は明白に数ヶ月後にニューデリーで行われたCOP8の気候会談で強調され類似のシフトを引き起こしており、「そのシフトはブッシュ政権を満足させており、ブッシュ政権は経済に害を及ぼすだろうといった恐れから排出量の義務的削減を回避するために闘っていた。そして「私たちは削減と順応といったバランスにより力点を置くことを歓迎しており、そしてあなた方はすべてを行うのに十分なお金を保有していない」とニューデリーでアメリカの交渉担当者は述べていた」[197]。同様に[198]を参照せよ。しかしホワイトハウスの順応に対する力点はよく受け止められていなかった。

「化石燃料の消費が深刻な被害を引き起こしていることをしぶしぶ認め、現在の政策が不十分であることを暗示しているにもかかわらず、レポートは、次のステップに移り、代替案を勧告することに失敗している。むしろそれは私たちが単に来たる変動に対応する必要があることを示唆している。例えば政府がアメリカ人にサングラス、日焼け止めローション、つばの広い帽子をよく利用することを促すことによってオゾン層の穴に言及している元内務長官のHodelの提案を振り返ると、レポートは私たちがエアコンの利用の増加による熱関連の健康への影響を取り扱うことが可能になることを示唆している...気候変動の解決を提案することから離れて、ブッシュ政権は温室効果ガスの排出を実際に増加させているエネルギー政策を採用していた。特に、レポートが増大するエアコンの利用を気候変動の影響に対する「解決」の1つとして認識すると、エネルギー省はエアコンに対するエネルギー効率基準を後退させることを決定していた」[199]。これは11州の司法長官からのGeorge W. Bushへの手紙になる。

一部はこのシフトや、防止(例えば排出や消費の削減)に反対し、環境を犠牲にして石油産業に利益をもたらす構造を延長する固有のバイアスを示す不誠実な態度を見出している。「気候変動を認めないことはもはや時代にそぐわないので、職業としての否認派は私たちがアクションをとることを止めさせるために別の方法を試している。彼らは、気候変動の影響が現れるのを待ち、彼らを順応させることがより安上がりであると述べている」と気候変動に対処することに関し想定される経済上の危険性に言及している記事の中で環境活動家のGeorge Monbiot[200]は述べている。他は順応のみでは不十分だろうと主張している[201]。コペンハーゲン合意を同様に参照せよ。

確かに、削減と同じ程度で強調されていないけれども、確かに変動している気候に対する順応は早くも1992年に議論に必要な部分として含まれており[202]、すべて共に存在していた[203][204]。しかし懐疑論者によって擁護されているように、それは予防的な削減の努力を除外することに対してではなく、炭素の削減の擁護者は、そこに違いが存在していたと述べている。

3.4 科学者たちに対する政治的圧力

多くの科学者たちは、彼らが、人間の活動が地球温暖化の原因になっていることを示唆するあらゆる科学的結果をゆがめるかもしくは隠すことを意図した大きな圧力の下におかれていたと述べていた。アメリカ下院の監視・政府改革委員会に報告された気候科学者たちの調査は「すべての回答者のほぼ半数がさまざまな会話に中において「気候変動」「地球温暖化」や他の類似した用語を排除するための圧力を認識し、個人的に経験していた」と記していた。これらの科学者たちはブッシュ政権の気候変動に対する懐疑論に合わせるために彼らの地球温暖化に対するレポートを合わせるよう圧力を加えられていた。いくつかのケースでは、このことは元の石油産業のロビイストの要求によって生じていた[205]。2008年6月にNASAの監査総監局によるレポートは、ホワイトハウスによって任命されたNASAのスタッフが、2004年の大統領選挙と関連する論争からブッシュ政権を守るため、地球温暖化に対する科学的データを検閲し、隠匿してきたと結論づけていた[206]。

Philip Cooneyのようなアメリカ高官は繰り返しアメリカ政府の科学者たちによる科学レポートを修正しており、Thomas Knutsonのような彼らの多くは気候変動や関連したトピックを議論することを控えるよう命じられていた[208][209][210]。地球温暖化や他の問題に関する科学的情報を隠匿する試みはジャーナリストであるChris MooneyによってThe Republican War on Scienceといった著作の中に記述されている。

NASAのゴダード宇宙科学研究所の責任者である気候科学者のJames E. Hansenは2006年に広く引用されているニューヨークタイムズ紙の中で、NASAの上役が「社会に公表される」情報を「検閲」しようとしていたと記していた。NASAはこれを否定し、NASAで行われる仕事の一部としてのインタビューの中で科学者は個人的見解と公式の政府としての見解を区別することが単に要求されているだけであると述べていた。アメリカ海洋大気圏局で働いている何人かの科学者たちは同様の苦情を述べていた[212]。繰り返すならば、政府高官は、個人的見解を公共の場でのインタビューやフォーラムに参加するときの見解と同一とみなすことを政府の科学者たちに要求する長期的な政策を彼らが実施していたと述べていた。

BBCで長く続いている時事問題のシリーズであるPanoramaは現在問題を調査しており、「地球温暖化についての科学レポートは組織的に変更され、隠匿されてきた」ことが伝えられていた[213]。

一方、気候変動に対する人間の影響の確からしさに関して疑念を表明してきた一部のアメリカの気候学者は政治家や政府機関によって批判されてきた。オレゴン州知事であるTed Kulongoskiは、オレゴンはオレゴン州立大学のGeorge Taylorによるそのタイトルの使用に応えて「州の気候学者」を公式に任命しないことを広く社会に明らかにした[214][215]。地球温暖化に関し彼が表明した科学的疑念の結果として、Delaware Department of Natural Resources and Environmental Controlは伝えられるところではデラウェア州のオフィスからDavid Legatesを排除しようとした。2006年後半にバージニア州知事のTim Kaine(D)は伝えられるところではバージニア州の気候学者であり地球温暖化の懐疑論者であるPatrick Michaelsを調査し始めた。

大多数の見解に合意する科学者たちは時として、利益団体やメディアによる地球温暖化に関するセンセーショナリズムとして彼らが見たものに対する懸念を表明していた。例えばTyndall Centre for Climate Researchの責任者であるMike Hulmeは、どのように「壊滅的」「混沌」「戻すことができない」のような悪い用語の使用の増加が気候変動における社会に開かれた議論を変えてしまったのかについて記していた。「この議論は現在、私たちは地球の気候に関し戻ることができない状況に置かれており、「全く得るものがない」立場にあるといった「気候変動は私たちが想像する以上に悪化している」とのフレーズによって特徴づけられている。気候変動に関する私の広く社会に開かれた声明や講演が環境問題におけるドラマや誇張されたレトリックを求める彼らの欲望を満足していないとき、私は気候変動のキャンペーンを行っている者によってますます私自身をとがめられていることに気付いていた」[216]。

2007年1月30日のAP通信によれば、7つの政府機関において気候科学者たちは、彼らが地球温暖化の脅威を軽視する目的の政治的圧力を受けていたと述べている。

そのグループは、アンケートに回答した279人の気候科学者たちのうち5分の2が、彼らの科学論文の一部がそれらの意味するところを変更するように修正されていたと不満を述べていたことを示す調査を公表した。「279人のうちほぼ半数が別の質問に対する回答で、ある時点で彼らはレポートから「地球温暖化」や「気候変動」に対する言及を削除するように言われていたと述べていた」[217]。

ウォールストリートジャーナルの社説のページを担当する評論家は、調査はそれ自体非科学的であると述べている[219]。

政治家からの圧力に加え、気候変動の問題に関わる多くの著名な科学者たちは、一般人から非常に深刻なハラスメントを受けていたと述べていた。ハラスメントはさまざまな形をとっていた。アメリカのFBIはABCニュースに気候科学者たちに対し脅迫メールを送るといった悪意がなしたことについて調査していると述べ、一方白人至上主義者のウェブサイトは何人かの気候科学者たちの写真を「ユダヤ人」といった言葉とともに掲載していた。ABCニュースによってインタビューされたある気候科学者はドアーの前に動物の死骸を捨てられており、現在頻繁にボディーガードとともに移動する必要があった。

3.5 訴訟

いくつかの訴訟が地球温暖化について行われていた。例えば、マサチューセッツ州とアメリカ合衆国環境保護庁が争ったアメリカの最高裁判所の審理は、環境保護庁が大気汚染防止法の下で温室効果ガスを規制することを認容していた。同様のアプローチは、自動車による二酸化炭素の排出を削減することを自動車メーカーに求めるために、カリフォルニア州とゼネラルモーターズの訴訟を起こしたカリフォルニア州の司法長官であるBill Lockyerによって採用されていた。この訴訟は法的メリットを欠いていると見受けられ、投げ出されていた[221]。3番目のケースはComerとアメリカのMurphy Oilの訴訟になり、ミシシッピ州の弁護士であるGerald Maplesによる集団訴訟は化石燃料や化学関連企業に地球温暖化による損害賠償を求めるものだった。それは迷惑訴訟として認識され、地方裁判所で却下された[222]。しかし地裁の決定はアメリカの第五巡回区の控訴審で覆り、原告の気候変動に関する主張のいくつかを認めるよう2009年10月22日に地方裁判所に指示していた[223]。シエラクラブは、自動車の燃費基準を引き上げることに対する失敗についてアメリカ政府を訴えており、それによって二酸化炭素の排出を減少させていた[224][225]。

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