地域によっては全体的に空間線量が低下しているといっ
たことを測定値から確認することができるが、他方、ドイ
ツ気象庁(DWD)の図がやや誇張された印象を与えてしま
うかなと考えることがあり、独文全てを訳し下してみた(
量的には多くない)。URLと4/3時点の記事に対する日本語
対照訳は以下の通りになる(うまい訳文ではないと考える
こともある..)。
http://www.dwd.de/
日本における天候と拡散状況
2011/4/3
上の図:拡散状況 2011/4/3 UTC 時点でのモデルによる日本
の火曜日の朝の相対濃度の予測
寒冷前線の後退の後、高気圧が韓国と日本海から日本列島
の本州にまで広がる。さらにそれは北や北東からの風になる
だろう、そしてそれによって福島からの放射性物質の拡散は
南部へ向かうかもしれない。これらは太平洋上において放射
性物質の相対濃度を減少させる可能性があるが、一部は日本
列島の上に拡散するかもしれない。
真ん中の図:拡散状況 2011/4/3 UTC 時点でのモデルによる
日本の水曜日の朝の相対濃度の予測
水曜日には高気圧が日本の大部分を覆うだろう。その際に
それは乾燥した状態でとどまり、そして北日本を除いて弱い
風が吹く状況が生じるだろう。これが意味するところは、
限定的だが固有の風向きが与えられることとそれが局地的な
状況の影響を受ける可能性があることである。しかし現在の
シミュレーションが示唆することは、南西部の方向に運ばれ
る前に、汚染物質のほとんどが当面太平洋の東へ運ばれるだ
ろうということである。このことから日本の海域同様本州の
一部が影響を受けることが示される。
6時間毎のアニメーション(下の図をクリックして下さい)
が示すことは、放射性物質を含む大気の拡散が、期間は3日、
高さ250mに及ぶ福島原子力発電所の大気の固まりに由来し
ていることである。放出された放射性物質の量が未知のた
め、単に相対的分布と未知の濃度を源とする値が想定され
ている。現地における実際の放射性物質の拡散に対する帰納
的結論はそれゆえ現実的な情報でなく、BMU(www.bmu.de)
のサイトを訪れて欲しい。
朝日新聞によると日本気象学会の理事長である新野先生
が「学会の関係者が不確実性を伴う情報を提供することは、
徒に国の防災対策に関する情報を混乱させる」「研究は大
切だが、放射性物質の拡散に特化して作った予測方法では
ない。社会的影響もあるので、政府が出すべきだと思う」
と3/18(金)に指示を出していたことが確認できるものの、
上記の通りドイツ気象庁に限らず欧州各国がシミュレーシ
ョンの結果を公表しており、その誤った解釈を避ける意味
でも最初からこれまでの研究内容の開示に積極的に動くこ
とは妥当かなと考えることがある(ただ当事者にしてみれ
ば何を言っているかと考えることもあるのだろう..私と
は立場が異なるが..)。
いずれにしても確かにドイツ気象庁(DWD)の4/6の図
は関西から九州までを含んでいるものの、訳文にも記した
通り、「期間は3日、高さ250mに及ぶ福島原子力発電所の
大気の固まり」にどれだけの放射性物質が含まれているか
が分からない以上、その空気の拡散だけを眺めてあれこれ
言ってもどうしようもないことだけはお分かりいただける
かと考えている。
ただ私はこういったシミュレーションは有益だと考えて
おり、それが一人歩きする危険性を憂慮するより、その先
の見通しをよくすることの利便性が優るなら、どんどん公
開されてしかるべきだとの考えを抱くことが多い。
それでは。
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